女性なら誰もが憧れる健康的な美ボディになれるための食事方法があれば、気になりますよね?
ここでは、ダイエットのために必要な食事の考え方や、その理論的背景を紹介します。
低カロリーであれば良いという考えを捨てる
勘違いしている方も多いのですが、低カロリーの食事をすればダイエットに成功できるわけではありません。
たしかに、低カロリーの食事をすれば一時的に体重が落ちるかもしれませんが、それは必ずしもキレイになったり美ボディになれるわけではありません。
その理由は、「低カロリーの食事は体に必要な栄養素が入っていない場合が多い」からです。
健康で、栄養素を代謝できる体でなければ、ダイエットなどできません。そのような状態では、栄養素を退社するためのホルモンや化学反応を促進する酵素もつくりだすことができず、筋肉が落ちて代謝が悪くなり、糖質は脂肪として蓄積していく・・・。その先にあるのは、健康も美しさも失われ、食事を制限しても痩せない体です。
正しいダイエットをおこなうための食事とは、「低カロリーよりも体にとって必要な栄養素をたっぷりと摂る」ことです。
動物性タンパク質を積極的に食べる
動物性タンパク質と聞くと、ダイエットには向いていないように思われがちですが、なぜ積極的に食べたほうが良いのか?
ひとつの理由は、筋肉や骨などの主成分だからです。
筋肉が減ってしまうと基礎代謝が悪くなり、ボディラインも崩れやすくなります。それと、体の中で代謝を起こすホルモンや、代謝をうながす酵素などの物質は、タンパク質を材料としているからです。
たとえば、体についた脂肪をエネルギー源として消費するためには、中性脂肪を脂肪酸に分解して筋肉などに運んでくれるホルモン感受性リパーゼという酵素が必要です。
酵素はタンパク質からできているので、タンパク質が不足するとリパーゼがつくりだせません。すなわち、脂肪がうまく分解できないということになります。
植物性タンパク質よりも動物性タンパク質を優先する
タンパク質には動物性と植物性があって、それぞれ含まれるアミノ酸の量が違うため、体の中で有効利用される量も異なります。
もちろん、植物性タンパク質は体に悪いものではありませんが、動物性タンパク質の割合を多くすることを優先しましょう。
食事誘発性熱生産性(DIT)から考えたタンパク質の重要性
タンパク質を多く摂って欲しい理由がもう一つあります。
食事によって栄養素を摂りこむと、安静にしていても代謝量が増えていきます。この現象を食事誘発性熱産生 (DIT)といいます。
食事のあと、なんとなく体が暖かくなってきますが、それはこのDITによって熱がつくられるからなのです。
3大栄養素の中でもDITで消費される割合が違っていて、
- タンパク質 約30%
- 脂質 約5%
- 炭水化物 約4%
となっていて、タンパク質の割合が圧倒的に多いのです。つまり、タンパク質は食後にDITによって代謝されやすいことが分かります。
なので、肉や魚、豆類、卵などを積極的に食べて、代謝をあげましょう。
肉を食べすぎると体に良くないの?
肉は高タンパクで炭水化物はほとんどなく、体脂肪を減らしたい人にとっては理想的な食材です。
でも、「肉をたくさん食べると体に悪いのでは?」と思う方もいますよね。ダイエットを考えると、肉を食べすぎて脂肪やコレステロールの摂りすぎにつながるのではと疑問に思うかもしれません。
もちろん、食べすぎはよくありませんが、ダイエットで体脂肪を減らすことを考えるのなら、肉を食べることによる脂肪の摂りすぎよりも、糖質による脂肪の吸収促進のほうが大きな問題です。
さらに、肉にはカルニチンが含まれているので、脂肪をエネルギーに変換するのを促進してくれますし、肉にたくさん含まれるアミノ酸のロイシンは、ダイエット中に筋肉が落ちるのを防ぐ役目を担っています。
また、エネルギーをつくるのに必要なビタミンB2、B3、B6、B12などが多く含まれていますし、赤身の肉には鉄分や亜鉛など美容に必要な成分も豊富です。
適切なタンパク質の量は?
健康な体を保つためには、体重1kgあたり1日1gのタンパク質が必要だといわれています。
基礎代謝を上げるためにトレーニングをしている人は、1.2g~1.5gくらいタンパク質を摂るのがおすすめです。体重50kgの方だと、60g~75gが目安となります。肉や魚の重さに換算すると、300g~400gくらいになります。
普段の食事でこのタンパク質を食べるのが難しい方には、プロテインをつかうと良いです。
脂肪はえらんで積極的に食べる
スーパーの食品コーナーを見渡すと、ノンファットやローファットなどが並び、脂質を摂らなければ痩せられると思っている人も多いと思います。
しかし、脂質は筋肉や神経の細胞膜の材料であり、代謝に必要なホルモンの材料となります。なので、脂質を避けるのではなく、正しい脂質を摂ることが大切で、逆に言うと脂質を摂らないとダイエットは成功しません。
摂るべき脂肪と避けるべき脂肪
脂質にはいろいろな種類があり、摂ったほうが良いものと摂らないほうが良いものがあります。
脂肪は消化と吸収の過程で、脂肪酸とグリセリンに分解されます。体内では、この脂肪酸が細胞膜の材料となったり、ホルモンの材料となったり、色々な働きをしています。
積極的に摂ったほうが良い脂肪
- オメガ3脂肪酸
- オメガ9脂肪酸
適度に摂って良い脂肪
- 飽和脂肪酸
控えめなら摂っても良い脂肪
- オメガ6脂肪酸
避けるべき脂肪
- トランス脂肪酸
これらをぜひ覚えていただき、普段の食生活に活かしてくださいね。
緑黄色野菜や海藻、きのこ類を積極的に食べる
動物性タンパク質から体に必要なビタミンやミネラルの多くが摂れますが、それだけでは不足するビタミンやミネラル、食物繊維を摂る必要があります。
そのために必要なのが、野菜や海藻、きのこ類などです。とくにこれらに含まれる食物繊維は、血糖値の急上昇をおさえてくれるので、ダイエットには効果的です。また、大腸にいる腸内細菌にとっても、食物繊維は大切なエネルギー源です。
野菜の中でも、緑黄色野菜を中心とした「色の濃い」野菜のほうがビタミンが豊富で、抗酸化作用のあるフィトケミカルなどの物質が多く含まれています。
これは、動物性タンパク質だけでは補えない、体の免疫力向上をサポートしてくれます。
おすすめの緑黄色野菜
- トマト
- パプリカ
- ほうれん草
- 小松菜
- オクラ
- アスパラガス
- レタス
- セロリ
- ゴーヤ
- ブロッコリー
- 大葉
など、色の濃い野菜を食べるようにしましょう。
糖質は控えめにして種類と量をコントロール
ダイエットの観点から見ると、穀物や麺類、パンなどの糖質に必須栄養素は少なく、動物性タンパク質や緑黄色野菜などを食べてもお腹が減った分だけ、食べても良いという位置づけとなります。
日本人の感覚では、糖質中心食品は「主食」だといわれていますが、ダイエットにおいての主食はタンパク質であり、お米などは添え物のポジションと考えたほうが良いです。
どうしてもお米を食べたい場合には、1食あたりご飯80gくらいにしておくと良いでしょう。この量なら、糖質に換算すると20gくらいに抑えられるので、血糖値の急上昇は起きにくいといわれています。
糖質制限はダイエットに効果的なの?
ダイエットや健康的な体づくりを考えたとき、糖質とどう向き合えば良いのでしょうか?
糖質と健康、ダイエットについて整理しますね。
糖質は体内で筋肉や脳を活動させるためのエネルギー源ですが、消費しきれなかった糖質は中性脂肪として蓄積されます。
糖質と脂質はどちらも人間が活動するために必要なエネルギー源ですが、糖質は脂質よりも体に蓄えにくい性質を持っています。
また、糖質を体内に摂りこむと、血糖値が上昇します。血糖値が高くなると、体は血液中の糖質を筋肉の中にストックするために「インスリン」というホルモンを分泌します。
インスリンは血糖値を下げるだけでなく、中性脂肪の分解を抑制する働きがあります。なので、インスリンが大量に分泌されると、脂肪が使われにくくなるわけです。
このような理由から「糖質制限ダイエット」というのが話題となっています。
糖質を食べなければ急激なインスリンの分泌も起きないので、体脂肪が増えることはないという考えです。
一見正しそうですが、見落とされている点があります。それは、代謝アップのためにはインスリンが必要となるからです。
インスリンは、血糖値のコントロール以外にも、さまざまな役割を担っています。たとえば、インスリンは筋タンパク質の合成をうながします。この作用をうまく使うと、トレーニングによる代謝アップが目指せます。
ダイエットには糖質の摂り方が大切
体の中では作ることができない必須栄養素を優先したうえで、糖質はむやみに制限するのではなく上手に摂ることで代謝の低下を抑えられます。
とくに筋トレのような運動をしたあとは、筋肉が糖質を摂りこみやすく体脂肪にはなりにくいです。
ダイエットのために運動をする場合は、運動のあとに糖質を摂取して代謝のアップを目指しましょう。またこのときタンパク質も一緒に摂るようにすると、筋肉量がアップする効果が期待できます。
ダイエット中は制限したほうが良い糖質ですが、タイミングを考えてうまく利用すれば、脂肪の蓄積を避け代謝を向上させることができます。