肉や加工食品は、体内酵素を消費します。いっぽう、野菜や果物、発酵食品には多くの食物酵素が含まれているので、消化や代謝を助けてくれます。
食物酵素は熱に弱いので生で食べるのがいちばん効果的で、食物酵素を上手に摂ると体内酵素の節約にもなります。
私たちの体は、「酵素」によって生かされている
酵素は食べたものの消化や吸収、代謝、排せつなど、生きてく上でなくてはならない物質です。
人間だけでなく、動物や植物をはじめ、生きているものはすべて酵素によって生かされているといえます。
新鮮な野菜や良質な発酵食品には、酵素がたっぷり含まれています。私たちは食べ物によって酵素を摂り入れるほかに、体内にはたくさんの体内酵素を持っています。
この体内酵素が少なくなると、体に支障が出てきたり病気になったりします。つまり、酵素がなくなるということは「死」を意味します。
日本人の食生活と栄養学
そもそも、日本で肉類が食べられるようになったのは明治以降で、一般家庭に出回るようになったのは戦後の高度成長期のころです。
それまでは穀物や野菜などの食物繊維を中心に食べていたので、日本人の消化管の長さは肉食民族の倍もあります。
肉や消化吸収に慣れない食べ物は、代謝のために多くの消化酵素をつかうと考えられます。
健康的な食生活は、三大栄養素である「タンパク質」、「炭水化物」、「脂質」をバランスよく取りましょう。という理論を唱えることだけで、100年以上も前に考えられた原理から、なにも進歩していないのが現実です。
酵素は物質変換の魔術師
酵素は「物質変換の魔術師」といわれています。というのは、いかなる生命体にも存在して、あらゆる化学反応に触媒としてはたらいています。
人間は炭水化物を吸収しやすくするために、唾液に含まれるプチアリンという酵素がはたらきます。また、プチアリンはデンプン質をブドウ糖のような糖質に変える糖化酵素。
酵素は1種類で1つの役割しか果たせません。
肉や魚などのタンパク質には、胃液に多く含まれるたんぱく分解酵素がはたらき吸収しやすいようにアミノ酸に分解されます。
乳牛がミルクを出すことや、竹や笹を主食としているパンダが脂肪を蓄えられるのも、酵素のおかげだといえます。
草ワラ一束で一日中砂漠を歩けるくらい背中に脂肪のこぶを蓄えるラクダや、昆虫や幼虫などを食べて何千キロも飛ぶことができるツバメ、土だけを食べて繁殖を続けるミミズなど。
いかなる生物も食べたものを分解、合成、変換させる酵素なしでは生きていけないことが分かります。
酵素を補給するたべものと消費する食べ物
生きてく上で欠かせない酵素ですが、弱点が2つあります。それは、熱と金属に弱いことです。
一説によると、酵素は60℃で熱せられると機能が半減し、80℃を超えると失活して完全に機能しなくなるといわれています。
つまり、加熱した料理からは酵素を効率的に摂ることができないのです。
- 加工していない食材を生のまま食べる
- 添加物のない調味料をつかう
- 納豆、ぬか漬け、味噌漬けなどの発酵食品を常用する
- 粗食、小食を心がける
いっぽう、酵素を消費して体調不良や病気などを誘発する食生活も紹介します。
- 加工食品を多く食べる
- 加熱調理したものばかりを食べる
- 肉類や脂っこいものを多く食べる
- インスタント食品、缶詰など保存食を多く食べる
- 間食や食べすぎることがよくある
- 外食が多い
人間の胃はだれでも一つしかありません。消化の悪いものや添加物の多いものを詰め込まないで、酵素のはたらきが良くなる必要最小限の栄養代謝で過ごすのが、健康的な体をつくる上で大切だといえます。