極低侵襲緑内障手術は、これからの新たな緑内障治療の選択肢
を参考に「低侵襲緑内障手術」について説明します。
1.緑内障とは?
緑内障(りょくないこう)は、眼の疾患の一種であり、視神経が損傷することによって徐々に視野が狭くなり、最悪の場合、失明する可能性がある病態です。緑内障は、主に眼内の液体である房水(ぼうすい)が正常に排出されないために眼圧が上昇し、それによって視神経が圧迫されることで引き起こされます。この病気は進行性であり、初期の段階では症状がほとんど現れないため、定期的な眼科検診が重要です。
2.緑内障の主な特徴は
視野の喪失: 緑内障が進行すると、周囲の視野が次第に狭くなっていきます。最初は中心視野が影響を受けず、外側の視野が欠落することが多いです。
眼圧の上昇: 眼圧の上昇が緑内障の主な原因の一つです。ただし、全ての緑内障患者が高眼圧を示すわけではありません。
視神経の損傷: 緑内障が進行すると、視神経が損傷し、失明のリスクが高まります。初期段階では痛みや不快感はほとんどなく、症状が認識されることが少ないため、定期的な検診が不可欠です。
緑内障の治療法は、主に眼圧のコントロールを含む複数の方法があります。薬物療法やレーザー治療、手術などが行われることがあります。早期に発見され、適切な治療が行われることで、緑内障の進行を遅らせることが可能です。
緑内障は、予防法は確立されていないものの、定期的な眼科検診と健康な生活習慣を保つことが重要です。特に、高齢者や家族に緑内障の症例がある場合、注意深く検診を受けることが推奨されます。
3.極低侵襲緑内障手術とは?
極低侵襲緑内障手術は、英語で micro invasive gulaucoma surgeryのことです。
略してMIGSと呼ばれます。
簡単に言えば「身体に負担の少ない緑内障手術」ということになります。
白内障と同じ、目薬のみの麻酔(点眼麻酔)で施行可能で、時間はこれも白内障手術と同じく、5~10分で施行可能な手術です。
緑内障治療は、薬物で眼圧を下げることがメインですが、新たなステージに達しました。
手遅れにならないうちに早めの手術で眼圧を下げてあげようというコンセプトです。
4.MIGSの手術方法
1)カフークデュアルブレードを用いた線維柱帯切開術
カフークデュアルブレードとは、幅0.23mmの器具です。
2枚の刃で線維柱帯を切開することによって、抵抗を下げます。極々細い器具なので、結膜などを傷つけずに、角膜(黒目)の小さな創から挿入し、切開することが可能です。
2)iStent(アイステント)を用いた眼内ドレーン挿入術
ステントとは金属製の筒のことです。
MIGSで使用するステントは、線維柱帯に挿入し、目の中の水(房水)が排出される手助けするための手術です。
5.まとめ
緑内障の治療の新たな選択肢である極低侵襲緑内障手術(MIGS)について解説しました。
緑内障は日本人の失明原因の第1位。
従来は薬物治療が中心でしたが、極低侵襲緑内障手術(MIGS)が新たな選択肢に加わりました。
その名のとおり、負担の小さな手術です。