セラミドは、保湿に優れた成分です。化粧品成分のセラミドにはいくつか種類があり、その中でもヒト型セラミドは最も保湿力が高く、エイジングケアの効果が最も期待できる成分です。
そこで今回は、ヒト型セラミドとほかのセラミドとの違いについてご紹介します。
セラミドの種類
合成由来のセラミドには、ヒト型セラミドと合成セラミドがあります。
ヒト型セラミドは、ヒトのセラミドに近い構造になるように、酵母を利用して生成された高価な化粧品成分です。ヒト型セラミドだけでも6種類以上あって、化粧品成分の表示は、セラミド1、セラミド2、セラミドNP、セラミドAPなどです。化粧品の全成分表示に「セラミド」と記載があれば、ヒト型セラミドです。
合成セラミドは、セラミドに類似した物質を化学的に合成したもので、疑似セラミドとも呼ばれています。
合成セラミドは、低価格ですが、保湿効果も他のセラミドより低いと考えられています。もちろん、合成セラミドでも保湿効果がないわけではないので、プチプラ化粧品などではこのセラミドが使われることもあります。
化粧品成分の表示は、セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドなどで、全成分表示でも「セラミド」と記載されることはありません。
つぎに、天然由来のセラミドには、天然セラミド、植物性セラミドがあります。
天然セラミドは、馬などの脳や脊髄から抽出される動物由来の化粧品成分です。動物性セラミドとも呼ばれる、高価な化粧品成分です。当初、動物性のセラミドは、牛由来の天然セラミドが主流でした。
しかし、BSE問題で安全性に対する懸念があるため、今では天然セラミドの原料は馬に変わっています。化粧品成分としての表示は、ビオセラミド、セレブロシド、ウマスフィンゴ脂質です。
植物性セラミドは、コメ、トウモロコシ、大豆、コンニャクなど植物由来の化粧品成分で、比較的安価なことがメリットです。
化粧品成分の表示は、グルコシルセラミド、加水分解コンニャク根、トウモロコシ胚芽抽出物、セラミド糖脂質含有米エキス、セラミド含有米抽出物、ユズ果実エキス、植物性セラミド、コメヌカスフィンゴ糖物質などです。
ヒト型セラミドとほかのセラミドの違い
ヒト型セラミドは、人がもとから持っているものと全く同じではありませんが、ほぼ同等の構造を持つものです。そのため、肌への親和性が最も高く、他の種に比較して、保湿力や浸透力に優れていることや、刺激が少ないことが特徴です。
合成セラミドは、本来の角層のセラミドと全く同じ構造のものとそうでないラセミ体セラミドが混ざったものです。天然セラミドは、セラミドの基本構造に加えて、「ガラクトース」という糖類が付いているので、厳密に言えば「セラミド」ではなく、セラミドになる前の物質です。植物セラミドは、セラミドの基本構造に加えて、「グルコース」という糖類が付いているので、こちらもセラミドになる前の物質といえます。
このように、ヒト型セラミドだけが、肌のセラミドと同じ構造であり、角層のセラミドそのものではありませんが、構造的な視点、活性のあるなしなどを考えれば、肌のセラミドのはたらきに近い効果を期待できるエイジングケア化粧品成分と言えます。
まとめ
セラミドにはいくつか種類があり、構造や効果には違いがありますが、どのセラミドも基本的なはたらきは、肌を保湿することで肌荒れなどを防ぎ、肌のキメ、ハリ、ツヤをキープすることです。違いをきちんと理解して、上手にエイジングケア化粧品を選びましょう。