体内酵素の活性化するためには、平熱37℃が理想的
酵素反応は体温が高いほど活性化し、反応のスピードが速くなります。酵素の種類によっては、温度が1℃下がるだけで活性が半分以下になるものもあります。
ただし、酵素はタンパク質の一種なので、温度が高くなりすぎると酵素が死活してしまい、役割を果たすことができません。
酵素の種類によってもちがいますが、多くの酵素は60℃くらいになると変性するといわれています。
でも人間の体温はどんなに高熱になっても42℃くらいなので、体温によって酵素の活性が落ちることはありませんよね。問題なのは、体温が低くて体内酵素の活性が落ちることです。
体内で酵素がいちばん活性化するのは、体内温度が38~40℃くらいのときです。
でも、じっさいには平熱が36℃に届かず、35℃台の低体温の方が多くいます。35℃台だとすると体内の温度は36℃~37℃台となり、酵素が活性化する38℃まで達しません。結果、体に悪い影響を及ぼす可能性があります。
手足が冷たい、なかなか寝つけない、ひどい肩こりや腰痛など、体に不調を感じているとしたら、体温が低いせいで起こっている可能性が高いです。
体内酵素を活性化させ、健康的な毎日を送るためには、寝起きでも36℃台、日中は37℃ちかくまで体温が欲しいですね。
冷えと低体温とは?
「冷え」や「冷え性」という言葉は昔からありましたが、さいきんは「低体温」という言葉もよく聞くようになりました。
まずは、冷えについて考えてみます。冷えは手足が冷たく感じたり、体が冷えていると感じる状態を指します。
気温が低いことで感じる「寒さ」とは違い、冷えは体内に入りこんだ冷たさなので、個人的な感化です。冬の寒い時期だけでなく、夏の暑い時期でも冷えは感じます。
つぎに低体温ですが、じつは低体温という言葉にはしっかりとした定義がありません。平熱が36℃以下の人や冷え性だと自覚している人などを総称して、低体温という言葉が使われるようになりました。
なので、冷えと低体温は、基本的に同じだと考えて良いです。
冷えは病気の原因となるのか?
私たち日本人は冷えや冷え性といわれれば、自分がそうでなくても何となく意味は分かりますよね。
でも、欧米には「冷え」に該当する言葉がありません。そのため、病気に対する考え方や治療方法は、東洋医学と西洋医学では大きく異なります。
東洋医学では、「気(き)、血(けつ)、水(すい)」の3つの要素が体内を循環することによって、健康な身体が維持できると考えています。
「気」は生命のエネルギー、「血」は血液、「水」はリンパなどの体液を指します。これらが足りなかったり、体内をうまく循環できなかったりすると、体が冷えてさまざまな病気になってしまうと考えられています。
いっぽう、西洋医学では「冷え」は一種の循環不全で、血流の不足や代謝の低下によって「体内の熱が十分につくられていない状態」と考えられています。
体に摂りこまれた栄養や酸素は、血液によって体内すみずみへ届けられます。体の各部分はその栄養や酸素を使い、タンパク質の合成や分解、またいらなくなった細胞の代謝をおこない体に必要な熱をつくりだします。
そこで血液の循環が悪くなると、必要な栄養や酸素が届けられないので、細胞の新陳代謝がしっかりおこなわれず、必要な熱がつくりだせずに冷えてしまいます。
冷えて体温が下がると酵素のはたらきも悪くなり、代謝が落ちます。血流が悪いと老廃物の排出もうまくいかないので、血管が詰まりやすくなりさらに血流が悪くなるといった悪循環に陥ります。
このような血流や代謝が低下して熱がじゅうぶんにつくりだせない状態が続くと、低体温症となってしまいます。
低体温症が長期間に及ぶと、生活習慣病やがんなどのリスクが高まるといわれています。