人間が老化するメカニズムに関しては、諸説あります。「細胞の中に老化遺伝子というものがあるのではないか」とか、「生まれつき遺伝子に組み込まれた老化のプログラムに従って老化していく」だとか。
呼吸によって体内に入った酸素約2%は活性酵素に変化するといわれています。活性酵素は細菌やウィルスなどから身体を守ってくれる役割をしていますが、増えすぎてしまうと細胞を傷つけたりエネルギーをつくりだすのを妨害したりします。
結果、さまざまな病気の原因になり、老化を進めるといわれています。
鉄はそのまま放っておくと酸化してサビてしまうように、活性酵素が細胞を酸化させて体をサビつかせてしまうと考えると分かりやすいかもしれません。
ちなみに、活性酵素は酸素よりもはたらきが強く、鉄がサビるよりもあっという間に細胞を変化させてしまいます。
ただし、体内には細胞の酸化をふせぐ「抗酸化酵素」が備わっています。この抗酸化酵素が活性化していれば、体をサビつかせる活性酵素がつくられ過ぎたとしても、中和して無害化することができます。
なので、体内の酵素がうまく働かないと、活性酵素が体をサビつかせ、老化の原因となってしまうのです。
酵素が不足するとシワやシミ、白髪や抜け毛の原因に?!
酵素と老化がどのように関係しているのかを紹介しますね。
よく「25歳はお肌の曲がり角」といわれます。肌のハリがなくなり、シミが消えない、ソバカスが濃くなるなど、まいにちメイクする女性にとって、肌はさいしょに老化を実感するところかもしれません。
肌は約28日周期で古い細胞から新しい細胞に生まれ変わります。
この肌の新陳代謝であるターンオーバーにも酵素がかかわっています。酵素がしっかり働かないと、新しい肌への生まれ変わりがスムーズにおこなわれないので、シワやシミの原因となってしまいます。
とくに紫外線には要注意です。紫外線は肌細胞を傷つけてしまうので、早く回復しようと肌のターンオーバーの周期を早めてしまいます。
ところが、急にターンオーバーを早められても突貫工事のようなもので、通常の周期のような新陳代謝ができずに、正常な肌細胞をつくることができません。
本来ならきちんと排出されるメラニンが肌細胞に残ってしまい、シミやソバカスになってしまうのです。
髪の毛に関しても同じようなことがいえます。
髪の色は毛髪にふくまれるメラニン色素の量で決まります。メラニン色素は毛根にあるチロシンというアミノ酸からつくられるのですが、この合成に酵素が必要なのです。
酵素が不足すると髪の色をつくるメラニン色素がはたらかなくなり、白髪になってしまいます。
抜け毛が多い方も、酵素が不足している可能性が高いです。髪の毛も肌のターンオーバーとおなじように、一定のサイクルで生え変わっています。
酵素のはたらきが悪くなるにつれ、髪の毛をつくる毛母細胞の新陳代謝がしっかりおこなわれなくなり、抜け毛や薄毛の原因となるのです。
老眼や足腰が弱くなるのも酵素不足が原因に・・・
老眼とは、目のまわりにある筋力が低下し、ピントが合わなくなってしまう現象を指します。
また、足腰が弱くなるのも、筋肉の細胞の新陳代謝がうまくできずに新しい筋肉がつくられないことから起こります。
とくに足や腕の筋肉は、脳から「動かせ」という指示を筋肉に伝える神経と連動していなければなりません。酵素が不足するとこの神経伝達物質を正常につくりだせずに、手先が器用に動かせなくなったり、とっさの反応が鈍くなってしまいます。
こうした老化現象のほとんどは、酵素のはたらきが悪くなることにより細胞の新陳代謝がうまくいかず起こると考えられます。